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  ケチは地球を救う/温暖化防止の生活記  

 

地球温暖化防止に貢献する住まい

KT邸(2003年11月竣工 木造2階建 延べ床面積152u-46坪 ご夫婦でお住まい)は太陽光発電を採用して、ランニングコストの節約に成功しています。新築前までは年間約21万円かかっていた光熱費ですが、現在では年間5万8,849円の黒字(2011年)、3万4,027円の黒字(2012年)。2013年と2014年は機器の故障で目標を達成できませんでした。

 

2013年の発電量は前年の半分以下、2014年は赤字となりましたが、原因はコンバーターの故障でした。コンバーターは26度以上になると休止状態になり、発電できない状況になってしまったとのことです。2014年5月にコンバーターを交換してその後は順調に発電しているとのご報告がありました。

 

KT邸の施主である片山さんが、太陽光発電を採用したご自身の考えや節約内容を東京大学経済学部経友会会誌に掲載されました。参考になると思い、こちらでの掲載に許可を頂きましたのでご紹介します。


 

(参考)最近の年間光熱費は下記となります

▽ 2007年  −21,300円

▽ 2008年  −29,439円

▽ 2009年  −35,296円

▽ 2010年  +42,775円

▽ 2011年  +58,849円

▽ 2012年  +34,027円

▽ 2013年  +16,593円

▽ 2014年  − 8,951円

▽ 2015年  −16,639円

▽ 2016年   −6,158円

▽ 2017年   +9,486円

 

*2009年11月の検針日より、東京電力が太陽光発電により電力を買う価格は1キロワット時あたり48円となったため、これまでと一転してマイナスからプラスになりました。2013年は前年の半分以下、2014年は赤字となりましたが、原因はコンバーターの故障でした。2015年は春から夏にかけて日照時間の少ない日が多かったことも影響して赤字となりました。2016年は10月と11月の天候が不順で、秋晴れの日がほとんど無かったのが原因で6158円の赤字となりました。2017年は9,486円の黒字となりました。

 

ケチは地球を救う−温暖化防止の生活記

文/片山 朝雄

太陽という再生可能エネルギーを家計のたしにしようと思ったのは48年前(1959年)だった。朝日新聞水戸支局員として取材中、ある家の屋根の上にある大きなガラス張りの箱を眺めているうちに、これが温水器であることに気がついたのである。その2年後に東京本社に転勤し、神奈川県厚木市に県営の建て売り住宅を購入してすぐ、住宅金融公庫のローン返済に悩みながらも、太陽温水器を買って屋根に取り付けた。お陰で毎日ガスぶろで入浴を楽しんでも、年間のガス代は5万円ぐらいで済んだ。

 

1990年代の中ごろ地球温暖化が問題になって、国の住宅用太陽光発電導入促進事業が始まり、太陽光発電を設備するという家には補助金が出る、と知った時は「今度はこれだ」と心に誓った。太陽光発電のパネルは小生には人工衛星の写真を新聞に組み込む度におなじみで「やがて温水器なみに普通の家の屋根に載る日が来るに違いない」と思っていたのである。この事業が始まったときは、屋根に設置するのに1000万円、補助金は400万円ぐらいで、日本中でごくわずかしか実現しないだろう、という記事を読んだことがある。「設置費用は年々安くなるはずだ」と決めて、10年計画を立てた。

そのころ拙宅は最後の増改築から20年ぐらいたっていたので、建て替えなければならない、その資金を貯金する、新築の家には太陽光発電の設備をする、車椅子に頼る事態になっても困らないようにエレベーターを付ける、廊下を広くしバリアフリーにする、という計画だ。甥の一級建築士に設計監理を頼み、計画通りに完成、2003年11月に新居に入った(銀行から1銭も借りなかったことは自慢の種である)。このとき小生は75歳。

   

新築した拙宅の模様と周辺を概略すると、敷地285.17平方メートル、家屋は1階が97.19、2階が54.82平方メートル。間取りは以前とほぼ同じで、エレベーターを付けた分だけ広くなっている。南向きで陽光はフルに取り込んでおり、他人の家が敷地内に影を落とすことはなく、第1種住宅専用地域なので将来も南に高層ビルが建つ心配はない。外断熱工法で建てた家なので冬は暖かく、夏は涼しい。気密性能試験結果は相当隙間面積0.8で、冬でも晴れた日中は暖房不要、灯油ヒーターを使ったりすると部屋の壁にある通気孔を開けておかなければ酸欠状態になる恐れがある。夏は窓を開けているときが多いので、日中はほとんど冷房は使わず、夜就寝前にちょっと使う程度。

 

2階の屋根に取り付けた発電用のパネル(太陽電池モジュール)はシャープ製で、5×7の35枚。設置費用は当初298万円、これから先述の導入促進事業の補助金41万5800円、厚木市からの20万円を差し引くと236万4200円。太陽熱温水器の代わりに給湯機「エコキュート」(夜間の安い電力で湯を沸かしておき好きな時に湯を出して使う設備)を据えつけたので、この費用が41万円から国の補助金19万円を差し引いて22万円となった。総額で258万4200円。これだけの出費が何年で回収されるか。これが大方の興味だろうと思うが後述する。

 

屋根での発電は日の出から日没までで、この間に家庭で炊事、冷暖房などで使った残りの電力を売る、日没後や雨天などでほとんど発電しない日の日中は買う、という契約を東京電力との間で結んだ。拙宅は東京電力の「片山朝雄発電所」という名称になっており、小生は発電事業者である、と経済産業省が認定するところとなった。新築後はガスとは決別してオール電化にしてしまったので電気代の料金システムは最も安上がりになる「電化上手」を選んだ。契約当時の料金表によると、夜11時から朝7時までの「夜間料金」は1kwh当たり6円、朝7時から午前10時までと夕5時から夜11時までの「朝晩料金」は21.55円、そのほかの「昼間料金」は夏は32.20円、その他季節は26.90円となっている。売りは、大体1kwh当たり25円が標準で、原油の相場で電気代が上がったりすると、我が家から東京電力が買ってくれる価格も上がる仕組みになっている。
さて、我が家の光熱費はどうなったか。光熱費といっても電気代だけだが、年間で次のようになっている。

▽ 04年 18,394円

▽ 05年 15,843円

▽ 06年 38,515円

▽ 平均  24,250円

新築前の光熱費は02年を調べると

▽ 電気代 138,376円

▽ ガス代 50,636円

▽ 灯油(1,2,3,10,11,12月)20,890円

▽ 計   209,902


   

年間約21万円もかかっていたのが、2万円内外で済んでいる。その差19万円で先述の太陽光発電の設備費(エコキュートも含めて)を割ると、13.5。13年もすると設備費はほとんど回収してしまうことになる。
上述の3年間の電気代で06年が特に高いのは、この年5月から8月まで日照時間が非常に少なく、冷夏だ、異常気象だ、という騒ぎになっていたからだ。その前2年間では、この期間は屋根の発電量が、買った電力量より多い、またはほぼ同じ、という状態になっている(別図参照)。つまりこの期間は普通なら電気代が黒字になる稼ぎ時で、これが赤字になるのは正に異常である。

 

屋根の角度は、春分・秋分の正午に南中する太陽の光線が直角に当たるように作られているから、特に2月半ばから4月にかけて空の澄んでいる晴天の日は発電量が高い。1日の発電量が最も高かったのは、暑い日が続いてこの時も異常だと騒がれた04年夏の8月17、18日で、それぞれ27kwh以上出ている。今年(07年)の3月12日も同じ発電量を記録しており、この日は富士山がはっきりと見えた。

 

小生の世代では、男のくせに光熱費だのガス代だのと家計の細かいことをほじくるやつはバカにされるのが普通だった。「節約」「倹約」は「ケチ」と同義語扱いだったが、今はこれが「地球に優しい」という言葉と同義語となっている、と小生は考えている。「太陽光発電所長」になって以来、目が覚めるとまず「お天気はどうだ」と東の空を見るのが小生毎朝の習いとなった。晴天だと「今日もお天道様からお小遣いを頂けるな」と楽しくなる。「今日は25は出る」と踏む日は、1kwh当たり25円と計算して、625円が東京電力からわが懐に、という皮算用である。

 

エレベーターの消費電力は、据えつける前にナショナルの職員が「1日20回ぐらい昇降しても、月に500円ぐらいしかかかりませんから、どんどん乗って下さい」と言っていた。どうやらこの言葉どおりらしいので、エレベーターの1カ月の電力代は屋根が晴天の日一日に稼いでくれる分で間に合ってしまう。デジタルカメラの電池には充電可能のニッケル水素電池を使っているが、この充電は専ら安い深夜電力を利用する。小生は年齢相応に早起きになっているので午前4時から充電する。そのほか洗濯機、お湯を入れておくポットなど電力を使うものの利用はすべて朝7時までに済ましてしまう、などなど、ケチ三昧の日常は書けばきりがないので、この辺にしておく。

 

今年(07年)2月の初頭に厚木からバスツアーで草津温泉に出かけた。神奈川、山梨県を通過して車窓から眺めていると、長野県に入って屋根に太陽光発電のパネルを載せている家が目に入り始めた。それも屋根一面でなく一戸あたり三枚か四枚、という家が多い。佐久辺りから草津まで戸数は数えられなかったが、目に入っただけでも百枚ぐらいになったか。一戸当たりこの枚数では家計にはほとんど影響はなかろうと思ったので、まことに不思議な感じがした。ただ、町全体では相当な枚数になるのだろうから、恐らく町ぐるみで地球温暖化防止、地球環境保護に努めているのではないか、と想像した。
(東京大学経済学部経友会会誌『経友』07年6号掲載)


 
 

片山 朝雄(かたやま ともお)略歴

1927年福島県白河市生まれ。東京大学経済学部卒。

朝日新聞社東京本社編集局次長、朝日新聞社用語幹事。

1982−1997年拓殖大学、法政大学、大正大学非常勤講師。

編・著書

「朝日新聞の用語の手びき」、「日常語診断」「朝日新聞社の漢字用語辞典」、
「ゆれ動く言葉と新聞」南雲堂刊、「同音語選びの辞典」三省堂刊

 
 

 
 
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